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2006年04月02日

*輝きの裏彩色

 先日の新聞に興味深い記事が出ていた。

江戸時代の画家、伊藤若冲の代表作「動植綵絵」30幅に表だけでなく、
裏側から着色する「裏彩色」の技法が駆使されていたことがわかったそうだ。
 例えば「老松白鳳図」という有名な作品があるが、
これは白い鳥の羽の部分に金色が入り混じっているように見えるが、
実際は金は使わずに、黄色の裏彩色をすることによって、輝きを演出している。
また雪は表裏から白を点じることで、その濃淡で奥行き感を出しているそうだ。

 伊藤若冲は、京の青物問屋の隠居で、職業絵師ではなかったが、
本格的なテクニックを熟知し、入念に計算しながら明澄な色彩を生み出した訳である。
裏彩色というのは、平安仏画に見られる伝統的な技法であるが、
これを自らの絵画にとり入れるか否かは、その人の感性の部分であるので
前々から伊藤若冲は、気になる人物ではあったけれども、
今回の件で、益々私のなかで注目する江戸人になった。

色鮮やかな絵画の裏に隠された秘密、「裏彩色」

表を飾ることは簡単だけれど、そこに輝きや生命感、オリジナリティを感じさせるためには、
緻密なテクニックと、経験に裏打ちされた計算、天性のセンスが必要なのだろうと思う。

そんな人物になりたいと思うけれど、まだまだほど遠い・・・
でも心の持ち方としては、
表からも裏からも輝きが出せるような「表裏彩色」な女性になりたいと思う
今日この頃です。
 

投稿者 M.Ohira : 11:47