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2006年08月30日

「ゲド戦記」の色彩

 映画「ゲド戦記」を観てきました。
客入りは良かったけれど、ご覧になった方の率直な感想はどうだろう。
私がなぜこの映画を観たかったかというと、
実は名訳と言われている「ゲド戦記」を翻訳した清水真砂子先生が、
はるか昔・・・
私が青山学院で児童教育を専攻していた頃の指導教官だったから。
20年も前に私は清水先生から「ゲド戦記」を薦められている。
 でも読まなかった・・・。ゴメンナサイ,先生。
私は当時、本当に劣等生でろくろく学校に行かず、
毎日通学途中の渋谷や表参道で遊んでいたのです。

余談ですが、その後見事に清水先生に卒論でこっぴどく絞られ、
ほとんどすべてのページに赤を入れられ、
泣く泣く研究室を後にしたのを今でも覚えています。

でも清水先生は本当に児童文学を愛している先生で、
私は劣等生だったけれども、今でも先生のお話会に
年に1,2度青山学院に顔を出しています。
すると、もう20年以上経っているのに、清水先生はアノ頃と同じ笑顔で
みんなを見渡して話をはじめるのです。
社会に対してまっすぐに生きている魅力的な女性です・・・。

先生はこの映画を見てどう思っただろうか。
でもきっと笑顔で感想を述べるだろう・・・

私は良くも悪くも「テレビゲーム」の感覚を感じてしまった。
映画館にいつものジブリ作品より子どもが多かったような気がします。
つまり大人が少ない・・・

途中から色彩を中心に見ることにしました。
ー主人公の「紫色のマント」ー

これ以上ピッタリの色彩選択はありません。見事に王子の複雑な心情と一致して、
揺れ動くココロが色を見ているだけで分かりました。
途中の店でゲドが王子にマントを買い求める時、
お店で出されたのは「緑のマント」、
しかしゲドは断りました。
次のシーンで王子に与えられていたマントの色は「紫」・・・

同じ中性色でも天と地ほどの差があるこの2色。
このあたりはさすがです!

でも欲を言えば、最後の旅立ちのシーンでは「緑色」のマントに
着替えて欲しかった。

「ゲド戦記」は長いお話ですが、はたして続編はあるのでしょうか。
映画を観ながら、久しぶりに清水先生にお目にかかりたいと思いました。

投稿者 M.Ohira : 18:16