« 桜咲く | メイン | またしても赤。ニューヨーク編 »

2006年02月10日

梅の薄紅色

21012.jpg

江戸東京博物館で、歌川広重の「名所江戸百景」:「隅田川水神の森真崎」を観てきました。
ここは「初摺」を所蔵していて、この度全120図を公開中です。
2月12日までは春の図が約40余点、以降順次夏から秋、冬の図が、
4月まで3期に渡って公開されるようです。

 私は江戸東京博物館が結構好きで、もう何度も行ってます。
なーんだ、子供だましみたいと言う方もいますが、
入り口を入ったところにある日本橋の復元を渡る時は、
何度行ってもワクワクします。

もともと江戸時代が好きなこともあると思うけれど、
模型ながら大名屋敷や奥方が乗った本物の駕籠を見ると、
200年前に生きているような気がするから不思議デス。
もし前世というのがあるなら、間違いなく江戸時代にあったはず…
そういえば古い友人が仲良し四人組を遊郭になぞらえてふざけていましたが、
言い出した友人
  ①置屋の女将
友人A
②逃げたくても逃げられない女郎
友人B
  ③さっさと恋人と夜逃げする遊女
マサミ
  ④金持ちの旦那に身請けされる高級遊女
友人曰く、
「だからさ、マサミは置屋にとっていちばん大事な女なの」
??と、変な誉められ方をした記憶があります。

と、そんな話をしたかった訳ではなく浮世絵のお話。

浮世絵は江戸のジャーナリズムのひとつだと思うけれど、
大衆的であるがゆえに芸術・文化として正しい評価がされずに
今に細々と生き続けているものだと思うのです。
これは深追いすると、専門家からクレームがつきそうなので止めますが、
もっとなぜ評価されないのか、あるいは自国の芸術や文化をなぜもっと
大切にしないのか、ということを最近とても感じるのです。
その点において藤原正彦さんが近頃、おっしゃっていることに深く同調いたします。

この展示においても来観者の数は少なく、寂しい限り。
(観る方としてはじっくり鑑賞できて良いのですが…)
私が手にいれた「隅田川」の絵はヨーロッパで大変人気がある構図とか。
ゴッホが真似たという「亀戸梅屋敷」も展示されているのにな・・・

と、素人の私がこんなことを嘆いていても仕方がないので、
勝手に宣伝活動。

桜の前に咲く花、「梅」の存在をすっかり忘れていました。
日本には梅の名所がたくさんあるけれど、浮世絵で観る「梅」もいいですよ。
先ほどの「亀戸梅屋敷」は超有名ですが、
今回もっと心惹かれる梅を見つけました。
それが絵葉書の「蒲田の梅園」

このなんとも言えない薄紅色。(うすくれない)
さらには「薄紅梅」と「紅梅」「桃色」へのぼかし・・・
桜色とは又違う色っぽさがあります。

それもそのはず、中国では梅の花は恋人への贈り物にも使われ、
普遍の愛情の象徴だったのだそうです。いわゆるプロポーズの梅。

この絵を見ていると、
花は白梅ですが、空一面の薄紅色のおかげで
紅梅の愛らしい芳香が漂ってきそうです。

コロンビア大学のスミス教授は「蒲田の梅園」の構図のなかに
時間的な移動を見ており、
「広重はカメラより数十年後の映画用カメラを先取りしている」と評価しています。

話はいろいろに飛びましたが、
浮世絵で色を愛でるもよし、構図を賞賛するもよし、アノ場所がこんなふうにと
昔を懐かしむもよし、
ぜひぜひ、「名所江戸百景」で、好きな場所を見つけてください。

投稿者 M.Ohira : 2006年02月10日 11:48