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2006年03月20日

メンズ・コーディネートの楽しみ

名称未設定 ネクタイ.jpg

 最近、私の仕事で増えているのがメンズ関係のコーディネート&セミナーです。
着こなしの基本から似合う色のアドバイスまで内容は様々ですが、
そのなかでもより実践的なものが、「ショッピング・コーディネート」です。
こういった業務は以前からあるのですが、
紳士服の商品数の膨大化やご本人の仕事の煩雑さに伴って、
より求められるようになったのかもしれません。

●具体的には、

その方にいちばんお似合いになる色のグループを見つけて、
ワードロープ計画を立てます。
その上で今シーズン足りないアイテム、あるいは戦略的に用いたいアイテムを決めます。
ご予算、必要なアイテムが決まったら、
その方の魅力を最大限に出すブランドを決定します。
私が前もって1~3店舗くらい訪問し、お店の方と相談して大体のコーディネートをつくり
当日試着していただく、というのが基本の形です。

何だか却って面倒だとおっしゃる方がいそうですが、
長い目で見ると、自分に似合う色の個人ファイルをお作りいたしますし、
現在のワードロ―プも確認できますので、喜んで頂いています。

男性は、お店の方の言われるままに試着もそこそこに商品を決定してしまいますが、
私が同行する時は、徹底してYシャツまですべて試着をしていただきます。
ですから、「1時間くらいですむでしょう」と多くの方は思われているようですが、
だいたい2~3時間の時間が必要で、
熱中しているうちに閉店の時間になったということもあります。

ただ私にとってやりがいがあるのは、
お買い物が終了した時点で、本当にご満足していただけたことが分かる点です。
最近の男性はきちんと言葉で表現される方が多く、
「あなたのお蔭で、今までの服選びがどんなに間違っていたか良くわかりました」
「今日は目からウロコ。服を選ぶことの知的楽しみを知った」等など。
またオススメした商品が気に入って、
その日していたネクタイをカバンに放り込み、購入したネクタイに変えていかれる方も
嬉しい表現です。

(*写真のネクタイはあるお客様が購入した5本です。
  それまで薄い色が多かったのが、自分には似合わない色だと
  判明したため濃い色を中心に選びました!
  これで1週間すべて大丈夫とおっしゃっていました)

また先日頂いたとっておきのコメントは、
「お店の人がデザインや素材の良さを盛んにアピールするのに比べて、
 大平さんは、常に私に似合っているかだけを考えて選んでくれている」
という言葉をいただきました。

しかしながら、こうした言葉に甘んじてもいけません。
それは売上げが目的の販売員と私は違うからです。
特にそのお店で購入しなくても一向に支障がなく
ノルマというものがない「私」のゆとりの差でしょうが、
実は「売る」事を考えなくて良い、ということこそが私の「サービス」なのです。

しかしながら接客のヒントは逆にこのあたりに隠されているような気もします。

さてさて、時間に追われているエグゼクティブの方たちは
実際にどんなアイテムを購入されるのでしょうか?
参考のために一部ご紹介します。

●紺orグレー無地スーツ
●ストライプ柄スーツ
●グレンチェックスーツ
●ワイドシャツ2~3枚
●ネクタイ4~5本
●カジュアルジャケット
●ボタンダウンシャツ(ストライプ柄)

このような中からいくつかのチョイスになります。
ご予算はその方に応じて違いますが、
私は販売員ではありませんので、高いものだけをオススメするわけでは
ありません。
紺無地のプレーンなスーツなら必ず価格帯の違う同じタイプのものを二つ用意します。
例えば、8万円と15万円といった感じです。
両方を試着していただき、決定してもらいます。
ただ商品の値段は、高ければ高い理由があります。
もちろん値段はお見せしないでお召しいただく訳ですが、
ほぼ100%の確率で、高価なスーツの着心地や見た目感が良いと
おっしゃいます。
スーツが日常着になっている男性はやはり着心地、フィット感で
選ぶのが正解だと思います。
肩が大きすぎたり、胴のあたりがだぶついていたり、袖回りが窮屈だったりでは
ダメなのです。
最近はお洒落な方が本当に多いと思いますが、
中高年層の方は、やや大きめのスーツを選んでいる傾向が強いので、
これを自分に本当にあったすっきりしたサイズに変えるだけで
見違えたように有能な紳士に見えるはずです。

基本は自分にあったサイズのスーツ。
この春、ワードロープを見なおしませんか?

●ご興味のある方はお問い合わせください!お待ちしています。
オフィスR&M
d電話03-3462-5131  fax03-3462-5141
HP:http://www.office-rm.co.jp/

●料金:◆似合う色判定&アドバイス 1時間 1万円~ (2時間が基本です)
     ◆shopでのコーディネート・サービス  1万5千円~
      ケ―スより異なりますので詳しい料金はお問い合わせください。


投稿者 M.Ohira : 09:08

2006年03月08日

本発売御礼と再びの「青」

名称未設定 hon7.jpg

私にとっての久しぶりの新刊が発売されました。
『お客さまに愛される接し方・話し方』大平雅美:BABジャパン出版局

接客について、実践できる方法をたくさん掲載しました!
人と話すことが何だか苦手・・・と思っている方、
もっと話し上手になりたい方、
ぜひ手にとってくださいね!

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さてさて、再びの「青」
私は大学院で近世から近代の色彩変化について勉強しています。
主に服飾についてをみている訳ですが、
江戸時代の男性は本当に艶っぽかったことが分ります。

前にも書きましたが、私は元々江戸時代に生きていたと勝手に想像しているので、
近世の文献を読むと、
私がそこにいたような気になったりするのです。
例えば、江戸時代の男性で是非会いたい人といえば、
何といっても「山東京伝」!
この才能ある人にタイムマシーンがあったらぜひ会ってみたい・・・
北尾政演として浮世絵師でもあり、戯作者でもあり、
煙管や煙草入れの店主でもあり。
そして自らは確か2度、遊女を妻にしていたりする色男なのであります。

その山東京伝が遊里小説である洒落本などに、
艶っぽい作品を自身が描いた絵とともに多数発表しているのですが、
その記述を読むと江戸中・後期はじめ頃の男性の何とオシャレなこと!

商売上手な男性3人が大川端をそぞろ歩く様子などは、
文字で想像するだけでもウットリするような風情があります。

江戸のおしゃれの醍醐味は、カラーコーディネート。
だいたい当時のお金持ちはキモノを3枚重ねてきていた訳だから、
3色をいかに上手に組み合わせるかで、
「粋」か「野暮」かが決まったのですね。

もともと権力のある男たちは「黒」が好きだった訳だけれども、
寛政頃を過ぎると、「青」の世界にだんだん染まってゆきます。
当時は、黒・青・茶をいかに微妙な配色で組み合わせるかが勝負だったわけです。

まぁ、「青」というよりは「藍」と言った方が良いかもしれませんが、
江戸の庶民文化が花開き、綿織物が発達してくる過程で、
その彩色にいちばん相性は良かったのが、「藍」だったのです。
しかしまぁ、そのバリエーションの多いこと!


さてさて、明治二十三年に来日したラフカディオ・ハーンは、こんなことを言っています。
「青い着物を着て、しじょうニコニコしている小さな人たち~ 一般の人が着ている着物の
地色は紺色が大部分だけれど、その紺色が店屋ののれんの色も支配している…」
とあり、とにかく日本中、青、「藍」だらけだと言っています。

ちょっと何がいいたいか分らなくなってきましたが、
とにかく近世からの爆発的な藍ー紺色の流行は、
DNAレベルで連綿と受け継がれているのではないかと思うわけです。
つまり何がいいたいかと言いますと、
「ちょいモテ」オヤジなどと騒がれ、日本の中高年の男性もすごーく
頑張っていると思うのですが、
近世が好きな私から見ると、
やはり、「紺色」=ネイビーブルーの定番スーツを上手に着こなしている人。
派手ではなく知的にシャツとネクタイとスーツの微妙な配色を創り出している人に
私としてはウットリ見惚れたりする訳です。

投稿者 M.Ohira : 09:41