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2006年02月26日

クールビューティと「青色」

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 今年の冬季オリンピックはもう盛りあがらずに終るんじゃないかと心配しましたが、
さすがに日本女子フィギュア!荒川静香選手は偉かった!
それにしても彼女の衣装選択は素晴らしいですね。
銀盤に映えるロイヤルブルーとペールブルー、
加えてあのスパンコールやジルコニア?かな・・
キラキラ麗しいデザインは女性なら誰もがウットリと見惚れてしまったのではないでしょうか。
私はあの衣装を見ただけで、「勝った!」と思いましたもの。

イタリアのスポーツ紙が次ぎのように大絶賛しています。
「タンチョウのようにエレガント。調和があると同時に正確。
青とロイヤルブルーの優美で控えめな衣装は彼女の性格に合っていた」

なるほど、タンチョウねぇ・・・タンチョウは白と赤と黒が印象的な優美な鶴ですが、
それに例えるとはさすがファッショナブルな国、イタリア。
日本の新聞はそんなふうには書かないものね。
さらに「日本語を話す東洋の女神」と続く・・・
昔、「東洋の魔女」もいましたけれど、今は「東洋の女神」、
そりゃ、女神の方がイイですね。

そもそもヨーロッパは「ブルー」に特別な思いを寄せつる地域。
「ロイヤルブルー」に一種の憧れや高貴さを見るのです。

それにしても荒川選手の肌色にぴったり合っていたあのブルー。
そもそも彼女の肌は一般的な日本女性よりも透明感がありピンク味が強いため、
あの色が最高に似合うのです。

安藤美姫ちゃんも似たような衣装だったけれど、
彼女の肌色にはああいったブルーはおすすめできません。
可愛いデザインだったけれど、もっと魅力的に見せる色選択があったはず、残念!

私は、仕事柄、衣装中心に見てしまうのですが、
コーエンの赤い衣装もダメでしたね。SPの時の方がよっぽど良かった。

あっ、今回はこんな衣装批判をしたいわけではなく、
ヨーロッパの人々がどんなに「ブルー」を愛しているかを伝えたかったのです。

実は「青」という色は、世界中のほとんどの国で最も好きな色の第1位にランクされる色。
日本の調査でも1位は青ですが、一方で青に「寂しさ」や「静けさ」といった少しマイナスな
評価を与える人が多いのも事実です。
しかし、キリスト教社会では「希望」や「敬神」「誠実」「永遠」「母性」など
大変好まれている色なのです。

例えば、
・blue ribbonーイギリスのガーター勲章の青色のリボン

・true blueー忠誠心の強い人、主義主張が変わらない強い意志の持ち主

・blue blanket ー「もっていると心が落ち着くもの」「安全を保障するもの」
          スヌーピーにでてくるライナスはいつも青い毛布を持ち歩いていますよね。。。
・blue birdー幸せの青い鳥(メーテルリンクの童話にもありました!)日本は車?

・bluestockingー学識の深い女性。社交界の黒い靴下に対抗して文芸サロンの女性がつけた?
         日本では「青鞜」と訳されました。近代では向学心を持つ女性の侮蔑語だったとか…
         あら、まっ!て感じですね。

等まだまだたくさんあるのですが、取りあえず良い話からした方が気分がイイので
プラスイメージのものを抜き出してみました!
でも、色は表裏一体。
青にだってマイナス面もたくさんありますので、次回にまた。

でも今回、荒川選手の衣装によって「青」の素晴らしさを再認識いたしました。
あの「クール・ビューティ」ぶりは、女優になっても良いぐらい!

投稿者 M.Ohira : 11:36

2006年02月17日

またしても赤。ニューヨーク編

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 先日、盛大に部屋の模様替えを行っていたらチェストの後ろ側にパネルが落ちていた。
そう・・・自分の顔パネルが何年も埃をかぶり、
暗く狭い隙間空間にどうやら閉じ込められていたようなのです。
しかも、パネルのあちこちに赤いシミ・シミ・シミ・・・
もう今の肌だけでがっかりしてるのに、写真にまでこんなシミがいっぱい付いちゃ~カナシイ。

と、思ったので恥を忍びつつ、さらに壁の隙間に落としたまま気づかないで「ゴメンネ」という
気持ちを込めて25歳の「私」に光をあてたいと思います。

これはNHK高松放送局に勤めていた頃の写真です。
アマチュアカメラマンの方が撮影してくださって、
わざわざパネルにして局までもってきてくださったので、
その当時は大変喜んで飾っていたものです。

何と言っても、ニュースキャスターになりたての2年目ですから!
そりゃ、行け行けドンドン。
今よりは野心的な目をしてますよね。

あれから??年近くたってしまったので、随分ゆる~い顔になってしまいましたが、
「初心不可忘」

でも、この頃の顔をみていたら、何だか焦っている20代の自分を思い出して息苦しくなります。
しかし走らなきゃいけないときもあるけど…ネ。

でもでも今までも部屋の大掃除というものをしていたつもりだけれど、
いったいどういうやり方だったんだろう。
ココ最近出現するグッズときたら!
いったいどこに隠れていたのだい!言いたいくらいです。

しかし!この写真を見てまたまたシミジミ気がついたこと。
やっぱり「赤」い服着てるのね…。

今日の一言。「人間は変化するが、変化しない。」


と、いつまでも過去に拘っていてもダメなので、色彩最新情報。
●ニューヨークの赤

アメリカでは女性の死因の1位は心臓病だとか。
そこでアメリカ政府が推進する心臓予防キャンペーン
「ザ・ハート・トゥルース」の登場。
何と2月3日を「赤い服を着る日」として、2003年のニューヨーク・コレクションから
赤いドレスだけのファッションショーを行っているのです!
さすがにアメリカ。やることがユニークですね。しかもこういったことを
政府推進でやるところが素敵ではないですか。
ラルフ・ローレンやダナ・キャランなどアメリカを代表するデザイナー達が
この日のためにデザインしたとか!

新聞に写真が載ってましたが、それはそれは熱い熱いホットな催し。
ここでの「赤」は「警告」の意味に使われています。
つまり、あなたの心臓を大切にしてね、ということだろうと思いますが、
キャンペーンの広報担当は、
「赤は警告の意味もあるが、明るく、前向きになれる色。赤いファッションを楽しむことで、
 啓発をさらに進めたい」と話しているとか。

色をこんな形で利用するなんて、日本も見習ってもらいたいものです。

そう言えば、トリノオリンピックは「情熱の赤」が其処彼処にありますねぇ。。。
あなたにとって赤は警告?情熱?どっち。

投稿者 M.Ohira : 11:28

2006年02月10日

梅の薄紅色

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江戸東京博物館で、歌川広重の「名所江戸百景」:「隅田川水神の森真崎」を観てきました。
ここは「初摺」を所蔵していて、この度全120図を公開中です。
2月12日までは春の図が約40余点、以降順次夏から秋、冬の図が、
4月まで3期に渡って公開されるようです。

 私は江戸東京博物館が結構好きで、もう何度も行ってます。
なーんだ、子供だましみたいと言う方もいますが、
入り口を入ったところにある日本橋の復元を渡る時は、
何度行ってもワクワクします。

もともと江戸時代が好きなこともあると思うけれど、
模型ながら大名屋敷や奥方が乗った本物の駕籠を見ると、
200年前に生きているような気がするから不思議デス。
もし前世というのがあるなら、間違いなく江戸時代にあったはず…
そういえば古い友人が仲良し四人組を遊郭になぞらえてふざけていましたが、
言い出した友人
  ①置屋の女将
友人A
②逃げたくても逃げられない女郎
友人B
  ③さっさと恋人と夜逃げする遊女
マサミ
  ④金持ちの旦那に身請けされる高級遊女
友人曰く、
「だからさ、マサミは置屋にとっていちばん大事な女なの」
??と、変な誉められ方をした記憶があります。

と、そんな話をしたかった訳ではなく浮世絵のお話。

浮世絵は江戸のジャーナリズムのひとつだと思うけれど、
大衆的であるがゆえに芸術・文化として正しい評価がされずに
今に細々と生き続けているものだと思うのです。
これは深追いすると、専門家からクレームがつきそうなので止めますが、
もっとなぜ評価されないのか、あるいは自国の芸術や文化をなぜもっと
大切にしないのか、ということを最近とても感じるのです。
その点において藤原正彦さんが近頃、おっしゃっていることに深く同調いたします。

この展示においても来観者の数は少なく、寂しい限り。
(観る方としてはじっくり鑑賞できて良いのですが…)
私が手にいれた「隅田川」の絵はヨーロッパで大変人気がある構図とか。
ゴッホが真似たという「亀戸梅屋敷」も展示されているのにな・・・

と、素人の私がこんなことを嘆いていても仕方がないので、
勝手に宣伝活動。

桜の前に咲く花、「梅」の存在をすっかり忘れていました。
日本には梅の名所がたくさんあるけれど、浮世絵で観る「梅」もいいですよ。
先ほどの「亀戸梅屋敷」は超有名ですが、
今回もっと心惹かれる梅を見つけました。
それが絵葉書の「蒲田の梅園」

このなんとも言えない薄紅色。(うすくれない)
さらには「薄紅梅」と「紅梅」「桃色」へのぼかし・・・
桜色とは又違う色っぽさがあります。

それもそのはず、中国では梅の花は恋人への贈り物にも使われ、
普遍の愛情の象徴だったのだそうです。いわゆるプロポーズの梅。

この絵を見ていると、
花は白梅ですが、空一面の薄紅色のおかげで
紅梅の愛らしい芳香が漂ってきそうです。

コロンビア大学のスミス教授は「蒲田の梅園」の構図のなかに
時間的な移動を見ており、
「広重はカメラより数十年後の映画用カメラを先取りしている」と評価しています。

話はいろいろに飛びましたが、
浮世絵で色を愛でるもよし、構図を賞賛するもよし、アノ場所がこんなふうにと
昔を懐かしむもよし、
ぜひぜひ、「名所江戸百景」で、好きな場所を見つけてください。

投稿者 M.Ohira : 11:48

2006年02月02日

桜咲く

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 数年前から我が母校の大学で桜再生プロジェクトなるものが始まっていました。
それは何かと言うと、
新校舎を建設する際に伐採した樹齢百年余の桜の樹をどうにか産業廃棄物にせず、
再生できないかという試み。
こうした関係者の思いは、桜材を版木とした浮世絵の作製と学生研究室の大テーブルという形で
残されることになりました。

そしてこのたびやっと、素晴らしい浮世絵作品となって完成しました。

それが写真の完全復刻
●歌川広重 名所江戸百景
「隅田川水神の森真崎」です。

写真だと浮世絵の素晴らしさはあまり伝わりませんが、
「蒼い空の清々しさと桜の麗しさ」をぜひ感じていただければ嬉しいです。

到着してしばらく、うっとりと眺めていましたが、
壁に飾ると何ということもない部屋に、品格が醸し出されて本当に素敵。

全30回の摺り工程ということですから、こんなに微妙な色合いが出せるのです。

「桜咲く」

世間は受験シーズンですが、早くこんな色の春が来ないかしら・・・と
浮世絵の前を通るたびに筑波山を望んでいます。

そうそうまたシンクロニシティ。

江戸東京博物館で2月12日まで、1856年(安政3年)画といわれる、
この浮世絵が公開されているそうです。

ウチにあるものは、現代の名工による完全復刻版ですが、
やはり「本物」を見てこようと思います。

投稿者 M.Ohira : 00:30